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この作品は、2008年度の初音ミクの誕生日企画「ボカロSS投稿所PS企画”Miku Hatsune”」に投稿された作品です。 作者名は、人気作品アンケートが終了するまで非公開とさせて頂いております。 ――さあ、御伽噺をしてあげようか。 やあ。よく来たね。まずはそこに掛けてごらん。寒かったろう? 今、温かいお茶を入れてあげよう。 困ったな。そんな顔をしなくていいよ。僕は君をとって喰いやしないさ。さあ、お茶が入った。どうぞ。熱いから気をつけてね。 ――美味しい? そう、良かった。それ、何も入ってなきゃいいね? ふふ。冗談だよ。毒なんて入れたら僕が君を食べられなくなってしまうじゃないか。 ……冗談だよ。そんな顔しないでよ。まあいい。 さて、それじゃあ御伽噺をはじめようか。 いいや、これは御伽噺ではないね。だって全てが真実さ。そう、僕がいたあの場所についての話。 君が見た、あの場所についての話さ。 さあ。御伽噺をしてあげようか。 ◆ 僕があの場所を見つけたきっかけは、そう、君と全く同じだったと言っていい。捨てられたんだ。親にね。なに、別にそんな珍しいことじゃないさ。特にあの頃は、そう、ありふれた日常だったといっていい。あの頃僕らの国は飢饉だったからね。子どもを捨てるなんてことは良くあった。 僕はあの森に捨てられた。君と同じにね。 深い森だった。父に連れられてその森まで来たとき、正直なところ僕は自分が捨てられることを理解していた。聡い子どもだったんだ。それでも僕は泣き喚いたりしなかった。正しい子どもを演じていた。僕は何も判らないふりをしていたんだ。 どうしてかって? さあ。それは僕にも良く判らない。でも君なら判るでしょう? ふふ、そう。君と同じさ。判らないまま、僕らは無知な子どものふりをしていた。それが僕らが生き残る術だったんだからね。僕らは子どもだったけれど、その術を理解して生きていた。利口な子どもは時として大人に嫌われていたからね。君も僕と同じ、利口な子どもだったということさ。だから利口な僕らは、あの時でも何も知らないふりを続けていた。 判っていたんだ。喚いたところで泣いたところで捨てられていくことには違いない。それどころか下手に泣き喚いたら捨てられるのではなく、その場で父の手によって生を終わることになるかもしれないってね。さすがにそれは嫌だった。だから僕は、捨てられることを許容した。恐らくね。 そうして父は去っていった。最後の言葉はなんだったっけな? もう忘れちゃったや。 僕は父の背を見送って、それから森の中を歩き出した。パンなんて持ってなかったから、どこかの兄妹みたいな真似は出来なかったけれどね。 それが間違いだったんだろう。僕はあっさり行き倒れて――そして君たちに拾ってもらった。 ◆ 目覚めて最初に耳に届いた君の歌声は、今でも僕の中に息づいているんだ。 嫌だな。どうしてそんな胡散臭そうな顔をするの。 本当だよ。僕は君の歌声に惚れたんだ。君は苦しそうに笑っていて、その笑顔にも惹かれたけれどね。 さすが、あのサーカスの歌姫と呼ばれるだけはある。 そうだ。腹を減らしていた僕に食べ物を分けてくれたあの獣は元気かい? あれから僕は新しい味を知ったんだけどね。 座長は相変わらずのようだね。あの二人はどうだろう? ――ああ、ごめん。そんな顔をさせるつもりじゃなかったんだ。……ね、ほら。顔を上げて。 君はまだ歌っているのかい? あの場所で? そう。そうか。そうだったね。終わりのない催しだと言ったのは座長だったか。 風が出てきた。窓がすこし煩いね。いっそ開け放してしまおうか。待っていて。……ほら。ああ、いい風だ。君の髪と同じ匂いがするよ。いや、どうかな? 少しばかりあの獣の餌の臭いも混じっているかな? あの場所はここから近いんだったね。 おや。鴉が鳴いている。こんな夜中に煩いことだ。 どうだい君。少し外を散歩に行かないかい? こんな夜だ。御伽噺にはとてもいいじゃないか。歩きながら話すというのも少しばかりおつではないかい? 君、知っていたかい? 御伽噺は夜伽話。夜に話す戯言さ。とても似合うと思わないか? さあ、お手をどうぞ。異形の歌姫。僕の愛しい歌姫。 ◆ やはり外は寒いね。僕の上着を貸してあげよう。ああ、大丈夫。怯えなくていい。大丈夫。君があそこから逃げ出してきたことくらい判っているさ。 僕がそうだったようにね。 近づくのはやめておこうか。あの獣の鼻は侮れない。座長の勘も恐ろしいものだけれどね。 さて、じゃあこのあたりで座ろうか。切り株の椅子なんて、なかなか御洒落じゃないか。誰が切ったものだか判った物じゃないけれどね。 今日も微かに歓声が聞こえるね。相変わらずあのサーカスは盛況なようだ。楽しそうで何よりだ。 何も知らない人間は楽しそうでいい。まったく、反吐が出る幸せだ。 もっとも僕だってあの場所で楽しんでいたのは事実さ。だってそうだろう? あの場所では毎晩君の歌声が聴けた。それはなんと贅沢なことだろう! パンやミルクよりずっと素晴らしいご馳走だった。 どうだい君。今宵も歌ってくれないか? 久々の再会に、一曲でいいから。 ――本当かい! それはありがたい。じゃあ心して聴くとしよう。 ◆ やはりいい声だ。断末魔の叫びにも似た絶望を、君の歌は体現している。だからだろうね。僕らの心に直接響く。 歌いながらでいい。僕の戯言の続きを聞いてくれるかな。 僕はあの場所にどれくらいいただろう? そう長くはなかったはずだけれど、僕の身体が腐るくらいにはいたんだろうね。 僕は何かに怯えていた。何にだろう? 今となっては僕には判らず、僕に判らないということは、この世に判る人間は誰一人としていなくなってしまったということだ。別に構わないけれど。 僕はあの場所から逃げ出した。なんということだろう。恩知らずだと恥じ入るしかない。あの一団に拾ってもらわなければ、僕は最初に行き倒れたあの場所で朽ち果て、森の一部になっていただろうに。 それでも僕は「何か」に怯えて、あの場所を逃げ出した。そうして今、ここにいる。 僕はどこへ行こうとしているのか、町へ戻るつもりはないのか。僕は僕自身に毎夜問いかけるんだ。けれども君、不思議なことに答えが出たことはないんだ。君はどうだい? 答えは出たかい? ああ、いい。いいんだ。答えなくて。君はただ歌ってくれていればいい。そう、無邪気な子どものように、いいや、そう振舞う利口な子どもみたいに、ただ笑って歌っていればいい。それが僕の望みだ。 この歌声が、永久に響けばいいさ。そして町にいる馬鹿げた幸せを謳歌する人間たちに届く日を祈ろう。 絶望を、聴けばいい。 ◆ ああ。おや。どうしたんだい。歌姫。眠ってしまったのか。そうか。こんな場所で眠ってしまうと身体に良くないだろう。君のいるべき場所へ僕が連れて行ってあげなければならないね。 さて。ところで僕は君に言わなければならないことがある。 眠り姫。愛しい愛しい眠り姫。異形の歌姫。愛しい愛しい異形の歌姫。 あの場所を逃れることを夢見てきた姫よ。僕の声が聞こえるかい? ここまで話してきた御伽噺の中、僕はたった一つだけ君に嘘を吐いた。 それが何なのかは―― 言わないほうが、花だろう? ◆ さあ。御伽噺をはじめようか。 そのサーカスは、暗い森の中にある。 森の奥の奥にあるんだ―― ――Fin.
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じだいをこえたあそびばで【登録タグ VOCALOID し 初音ミク 曲 瀬名航】 作詞:瀬名航 作曲:瀬名航 編曲:瀬名航 唄:初音ミク 曲紹介 CBCラジオ 開局70周年キャンペーンソング。日本の民間メディアとして「初めての音」を届けたことにちなみ、公式イメージキャラクターに「初音ミク」が起用されました。 Music Words 瀬名航illustration ASCAN Assistant 出汁汁 Movie House* 歌詞 (youtube概要欄より転載) 始まりの合図の音がなる ずっと、ずっと話そう! おしゃべりだね 僕らは狭い部屋で笑ってた 何もないあの時代は 名残惜しく過ぎて 少しずつ変わっていく 街も 価値観も 大切な思い出になっていくから 最初は小さな遊び場 段々大きな輪になる 全力で楽しむ君も 遠くで眺める君も 仲間だ さあ 思い出ごと進め 未来で繋がりますように 冗談みたいなその話 聞かせてみて? ひとりなのに、ひとりじゃない 僕らおんなじ世界で 狭い部屋の声を聴いて ふふっと笑っちゃうね 変わり続ける世界 置き去りにされそうでも 変わらないままで居てくれた 拠り所なんだ 度肝抜いたニュースも あるあるなお便りも 一つ一つが繋がっていく その軌跡を見届けよう 嬉しかったら話をしよう 辛くなったら耳を塞ごう 全力で生き抜く君も 息苦しそうな君も 仲間だ さあ 今楽しみ尽くせ 未来で後悔しないように 夢みたいなその話 聞かせてみて? ひとりなのに、ひとりじゃない 僕らおんなじ世界で 狭い部屋の声を聴いて グッと来ちゃうかもね 大事なところで噛んじゃって 相槌が大袈裟になって 間違えたことにシュンとして それも笑い話になって 不器用な僕らの言葉が 誰かに刺されと願ってる もう一歩踏み出すその勇気に エール送り続ける 離れていても大丈夫 ……むしろ程よい距離感じゃん? さあ 未来に出会う君へ ワクワクが届きますように 時代を超えた遊び場で 巡り合わせ ひとりなのに、ひとりじゃない 僕らおんなじ空の下 狭い部屋で声を聴いて ぎゅっと夢を抱きしめて とっておきのエピソードを いつか、いつか話そう。 コメント 作成いたしました!CBCラジオ70周年おめでとうございます!こういう曲、大好き! -- なりあさ (2021-10-09 18 53 24) 少し修正しました -- 編集者 (2021-10-09 23 02 35) この曲のあったかい雰囲気が好き -- 名無しさん (2022-02-06 14 57 24) これ、無意識に歌っちゃう -- 名無しの権兵衛 (2022-03-12 20 58 25) 結構マイナーな曲なので歌詞があって嬉しいです -- 文 (2023-11-04 13 18 55) 名前 コメント
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作詞:光収容 作曲:光収容 編曲:光収容 歌:鏡音リン 翻譯:(昏死的)rufus0616 昏暗的白晝 動けない日々 風だけが過ぎていく 動彈不得的每一日 唯有風不停流逝 午後二時 今 空は曇る 下午二點 現在 天空陰暗多雲 「これから帰るところ」と 隣りの電話が喋る 「我現在正要回去」 旁邊的電話如此說道 雲行き怪しく揺れる 傘など持たずに歩いた 浮雲的移動既怪異又飄搖不定 我不帶傘等雨具舉步前行 変わらぬ信号待ちに 心を持て余している 等待尚未轉換的紅綠燈 不知如何處理自己的心緒 気付かぬふりをしている 靴音だけが聞こえていた 假裝沒有察覺這一切 耳中只聽得見足音 翳る空を睨む、変わらないまま 我凝望陰鬱的天空、就那樣沒有任何變化 冷たい顔 駆け出した人の群れ 帶著冰冷的面孔 開始奔跑的人群 ビル影へと逃れて 振り返る一瞬に 朝著大樓的陰影流竄而去 在回頭望去的那瞬間 動けない今 雨音響く窓 動彈不得的此刻 雨水在窗上作響 心も 今 ただ静かに 就連內心 現在也 只是變得純然平靜 滲んで消えた記憶を 探せど見つからぬまま 尋找模糊消失的記憶 卻遍尋不著一無所獲 五分後には忘れてる 頭の中で笑ってた 只過五分鐘就忘光了 內心深處如此竊笑著 狂った調子のままで 濡れる路面を見つめた 我就帶著瘋狂的狀態 直盯被浸濕的路面 視線を感じ振り向く 雨音だけが今止んでいく 感覺到視線而回頭一看 現在卻只剩雨聲逐漸停歇 暗い空を睨む、割れた雲間に 我凝望灰暗的天空、從破碎的雲層中 斜め差す光 消えた雨音を 斜射而下的光芒 足音追逐著 追うように行く靴音 過ぎ去った騒乱よ 消失的雨聲離去 所有紛擾已然消逝 いつか今は消えていく 何もかも 此刻所有事物終會 消失逝去 これから どこに歩いてく 從今以後 我該邁向何處? 頬を刺す風 雑踏を去る影を 吹拂臉頰的寒風 彷彿像追逐著避開 追うように行く 靴音に掠れてく 呼吸 人潮的影子的 足音所掠奪而去的 呼吸 始まりか 終わりかが もう分からない 這裡是起點 還是終點 我已經搞不懂了 これから どこへ歩く 從今以後 我該邁向何處 動けない日々 時間だけが駆けていく 動彈不得的每一日 唯有時間不斷奔馳前進 午後三時 仄暗い昼を過ぎた 今から 下午三點 昏暗的白晝已經結束 從現在開始 動けない日々 風だけが過ぎていく 動彈不得的每一日 唯有風不停流逝 動ける 今 空は曇り 我能行動 現在 天空陰暗多雲 感謝Cilde桑(對於「仄暗い昼」的「昼」究竟是指「白晝」還是「晌午」的意見),以及Sin桑(在當事人沒察覺的情況下)提供的意見XD 這次弄中日對照是為了方便大家找碴(ry),如果對翻譯有意見還請大家不吝指教m(_ _)m。 990501 1.修改風だけが過ぎていく這部份,因為覺得「過ぎていく」在這裡應該是指「狀態的持續」 2.修改「斜め差す光 消えた雨音を 追うように行く靴音 過ぎ去った騒乱よ」、「頬を刺す風 雑踏を去る影を 雑踏を去る影を 追うように行く 靴音に掠れてく 呼吸」,這邊是猜想「追うように行く」應該都是修飾「靴音」,故在重新斷句理解後加以修改。 3.修改「いつか今は消えていく 何もかも」,後來覺得這裡的「今」應該是副詞,而非名詞,故修改。 不好意思帶給大家麻煩了m(_ _)m 990503 1.修改『「これから帰るところ」と』這邊的語氣 特別感謝Sin桑再幫我看過歌詞 T_T ,他真是大好人。 2.修改「ただ静かに」,原文不算錯,只是個人希望做個修飾而已......
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第二回放送 ◆h6KpN01cDg 「よし、放送の時間だ」 暗い部屋の中。 男は、自らに背を向けコンピュータに向かっている少女に声をかける。 答えはないと理解していても。 「……ねえ有希君。いいことを思いついたんだ」 彼女が、眉を上げも唇を噛みもしないことを承知していても。 「……うんうん、考えるだけでわくわくしてきた。そうだ、そうしよう。是非そうしたい」 男はただ語る。 それが『義務』であるかのように。 「彼らに、ご褒美をあげよう。きっと誰だって欲しいものさ」 楽しそうに、愉しそうに、喜しそうに。 そう、まるで―――これから娘の名前を呼ぶことなど何とも思っていないかのように。 「頑張って人を殺した者にあげる―――とっておきのご褒美だ」 少女の細く白い指が、エンターキーをそっと叩いた。 それは、おそらくは肯定の合図だった。 ※ 『やあ、参加者の皆。元気にしているかな? 太陽もすっかり上りきって、暑くなってくるかもしれないねえ。それとも雨が降るかな?何にせよ、天候には注意ってとこかな。 どうだい?ここに来てもう12時間、楽しめていたら嬉しいなあ。 やっぱり、何をするにも楽しむことからさ。嫌なことを無理やりするのは大変だろう?辛いだろう? ……おっと、こんな話は蛇足だったかな?それでは、皆お待ちかねの禁止エリアの発表といこうかな。 さっきも言ったけれど、一回しか言わないからね?第一回目の放送を聞き逃しちゃった君は、聞いておかないと大変なことになっちゃうかもしれないよ? 午後13 00から J-03 午後15 00から E-01 午後17 00から H-05 どうかな、皆、メモはできたかなあ? では、続いて惜しくも死んでしまった人の名前だ。 いやあ、残念だったねえ。せっかく一回放送を超えたのにねえ。 ホリィ ガルル中尉 アシュラマン 草壁メイ セイン 以上5名だよ。 それにしても……やっぱりいまいち人が死なないみたいだねえ。 こんな場所にいるんだから、人を殺さないと意味がないじゃないか。 ……だから、僕は一つ君たちにご褒美をあげることにしたよ。 もちろん!これがもらえるのはちゃんと沢山殺している人だけだからね!誰でも、なんて甘いことは聞かないよ。 そう……じゃあ、人数は三人にしよう。……もう二人殺している人もいるみたいだし、その人にとってはもうすぐかな? 三人殺した人は、この放送までに他の皆がどこにいたのかを教えちゃおう!……あ、もちろん、そこまで連れていってくれ、なんてのはだめだよ? たとえ過ぎ去った時間のことであっても、どうしても居場所が知りたい人、いるよね?……何か殺すことで利益があるって思うと、俄然やる気が出てくるってもんだよね? ちなみに、本当は殺してないのに殺したなんて嘘吐いた人は、その場でさよなら、だからね。正直に、ね。 大丈夫だよ、僕はちゃんと分かっているからね。正直ものと嘘吐きはすぐに分かるんだ。 それじゃあ、皆頑張って殺し合ってね。また6時間後に会おう』 そして、男はマイクの電源を落とした。 そして満面の笑顔で、少女に向きなおる。 「……有希君、今みたいな感じでよかったかな?」 男の問いに、またも少女・長門は答えない。 ただ、無言でパネルを叩くのみ。 「……本当に有希君は熱心だなあ。さっきも中トトロのところに行ったんだろう?」 少女の表情は変わらない。しかし、キーボードを叩く手が一瞬、止まる。 「わざわざありがとうね、中トトロを元の位置に戻してくれて。やっぱり進行役はちゃんと進行してくれないとねえ」 「……構わない」 かたり、かたり、かたり。 薄ぼんやりと、少女の表情がコンピュータの液晶に移り込む。 そこには、何もない。 笑顔も、怒りも、悲しみもない。ただの、無表情。 「……まあ仕事熱心なのは構わないけど、たまには休んだ方がいいよ、有希君?」 草壁タツオは長門の肩を親しげにぽんと叩き、部屋を出ていく。 ドアが閉まる音。 「……問題、ない」 かちり、かちり、かちり。 少女が小さく零した言葉の意味は、誰も知らない。 「……」 草壁タツオは知っているのだろうか。 彼女が、参加者の一人と交戦したことを。 何も言わなかったということは、特に非難すべきことではない、ということなのだろう。 スバル・ナカジマ。 それが、先ほど長門が刃を交えた、参加者の名前だった。 彼女は一般人とは比べ物にならない強さを持っていたが、長門にかかれば赤子の手をひねるも同然。 そう、大した相手であるはずがない。 だから、長門が気にかけるはずもない、そのはずなのに。 「……そう、」 長門のコンピュータに映し出されている、画像。 会場の地図や現在の首輪位置といったものと並んで、一つそこにはあった。 『参加者』としてリスト化された、スバル・ナカジマのデータ。 長門は、少しの間それをじっと見つめていたが、やがてそのウィンドウごと消し、再びキーボードを叩く作業を開始した。 だから、今のところは誰にも分からない。 彼女がどんな思いで、その青髪の少女のデータを見つめていたのかなど。 長門有希と呼ばれる少女、たった一人だけが残された部屋。 その部屋には、ただディスプレイの光だけが射していた。 時系列順で読む Back 鍵を握る者 Next 異世界人の考察 投下順で読む Back 少女が見た理想 Next 異世界人の考察 第一回放送 草壁タツオ 誰がために さらば愛しき中トトロ!! の巻 長門有希 心と口と行いと生きざまもて(前編)
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591 :a childie:2011/08/19(金) 10 38 59 ID cvfXo0Hw 第3話 下に鉛色の海。上に灰色のまだら雲。錆ついた世界。 クラクションが鳴り響いていた。 雨季に入る前の、少し荒れた海岸線を走る幹線道路、T字交差点。 追突した二台の車両。 一方は逃走車で、もう一方は追手で。 追手側のフロントガラスには無数の弾痕と蜘蛛の巣状の罅(ひび)、 一面に染まった血化粧。 追突された逃走車は運転席が潰れ、エンジンルームから煙。 人通りのない沿岸部の街。 クラクションが支配した世界。 助手席から這いずり出る。全身を道路へ打ちつけた。 起き上がろうとする。何とか右腕一本だけで。 左腕は車に置いてきた。ドアと追手の車の間に挟まり、潰れて抜けなくなったから。 三、四発撃ったら千切れた。 破けたジャケットの切れ端で左腕の先端を縛り、止血する。 まだだ。 まだ、進める。 拳銃から空のマガジンを振り落とし、口に咥えて弾薬を装填する。 唇と舌が焼ける感覚。構いはしない。 ストッパーを外し、スライドが重い響きをたて初弾を薬室に込める。 立って、道の先を見た。 その先にあるものを。 592 :a childie:2011/08/19(金) 10 40 49 ID cvfXo0Hw ****** 何かが欲しくて、必死に手を伸ばす。 初めての経験だった。 誰かが頭を撫でている。 髪を、頬を、顎を、首を、でたらめに。 目の前にある物を実感するように。 手で確かめる盲目のように。 触れられていることに現実味が湧かない。 自分が二つに分かれた。 一方が触れられ、一方が眺めている。 主観と客観。 そのうちに目を覚ます方法を思い出す。 593 :a childie:2011/08/19(金) 10 42 21 ID cvfXo0Hw ****** 暗い部屋。 密室ではない。夜でも無い。 雨音? もう、雨季に入ったのか。 そうか、これは雨時の暗さ 焦点が合わない。 思考が追い付かない。 少なくとも、前にいた部屋ではない。 ということは。 まだ、生きている。 なぜ。 ユリィ。 俺の隣にいる。 椅子に座ってこちらを見下ろしている。 まさぐる彼女の手。 その指の一本一本に恐怖を抱く。 日が差し込まない、密室での狂宴。 血で斑に染まった髪。手。いや、全身。 幼子な彼女が、足を、羽を、頭を千切っていく。 本当に無邪気に。 笑い声をあげて。 その手を遠ざけようと、右手を上げる。 金属同士が擦れる音。 手首に拘束具。 鎖がベッドの鉄柱と繋いでいる。 嵌った金属製の輪が、自分を罪人だと告げさせる。 中途半端に上がった右手。 それをユリィは掴み、身体を寝ている俺に枝垂れかかる。 銀髪が視界を覆う。 間近に寄せられた顔。 陰の中でも、目の底無しな暗さは識別できる。 無感情な目。 感情の表現を忘れた目。 ああ、そうだ。 あの部屋で理解した事を取り戻す。 口を開いた。 名前を呼ぼうと。自然に。 息が漏れるだけ。 もう、けして声が出ることは無い喉が、あった。 ユリィが舌を突き出す。真っ赤な触手じみた舌。 逃げずに、受け入れる。 唇に舌が這う。 味わうように、確かめるように。 次第に荒くなる彼女の吐息。 欲情の高ぶりの証。 右腕で顔を掴まれる。 体重で押さえつけられる。 舌が咥内へと侵入し、口付けに変わった。 視線だけ部屋に向ける。 壁にベージュの壁紙。 一卓のテーブルと一組のイス。木製。 何処かに続くドア。 窓。 雨で濡れていた。 頭痛。 観察するのが辛い。 脳がまだ、起きるのを拒否している。 目を瞑る。 もう何も見ないように。 絶え間なく咥内に唾液が送り込まれる。 自分を味わえと。 舌で舌を嬲られる。 自分を感じろと。 飲み込めずに溢れる唾液が口端から一筋に、頬を伝う。 雨音が響く。 その中で祈った。 約束を破った相手への無事と、懺悔を。 594 :a childie:2011/08/19(金) 10 43 54 ID cvfXo0Hw ****** ざー。ざー。ざー。 降りしきる雨音。 単調な音程。 去年までなら、ただ憂鬱でしかなかった季節。 それでが、今は。 例年通り、この街で雨が降り出す。 雨が周囲を閉ざす。 私と彼だけにしてくれるために。 595 :a childie:2011/08/19(金) 10 44 52 ID cvfXo0Hw ****** 医者が言った通りの時間帯で目を覚ましてくれた。 これで、本当に、私の物になった。 もう、邪魔するものはいない。 それでも、不安だった。 目の前にあるのが、念願だったものだったのか。 手に触れて安心させる。 これが悪い夢では無くて、現の事だと。 願いがかなったのだと。 人差し指と中指で顎を撫でる。 そこにある、薄い傷跡が何か、私は知っている。 慣れていなかった髭剃りで失敗した跡。 子供から大人になる間の跡。 私と彼しかいなかった時間。 目を覚ました彼が、私を見つめてくれる。 それで、やっと落ち着けた。 長く細く、息を吐いた。 彼はまだ、夢にいるようだった。 まだ、違う光景をみているの? 失敗したというのに。 けっして、二度と会えるわけがないというのに。 私に触れようと右手が上がって、止まった。 たくさんの人に向かって引き金を引いた手。 尽くしてくれた手。 私を愛してくれた左手は、もう無い。 彼は右手で人を殺し、左手で人を愛した。 右手を掴む。 もう、いい。 もう、何もしなくていい。 与えてくれる必要はない。 手に入れたから。 あなたの全てを。 これからは、私だけを見て。 顔を覗き込む。 私の陰の中でも、光る黒い目。 これも、私の物。 かさついてしまった、この唇も。 味わいたい。感じたい。 舌でなぞる。 ざらついた感触。 彼の、リュウジの感触。 もっと、もっと。 足りない。 全身で感じたい。 もたれた体をより、密着させる。 腕を、足を絡める。 舌を潜らす。 甘い、甘い唾液。 柔らかな触感。 微かな煙草の匂い。 頭を痺れさす。 存分に味わって、知って 今度は私と言う物を感じさせる。 二人分の唾液でぐじゅぐじゅになる。 まともでいる気なんてない。 欲しくて、欲しくて、やっと手に入れた物に どうして我慢する理由があるのかしら。 口を離す。 どろどろになったリュウジの口元。 うまく飲み込めなかったのか、 可愛く咽込んでいる。 包帯の下で動く喉。 話す必要もない。 優しい、欺瞞に満ちた声はいらない。 ただ、私に愛されればいい。 この小さな部屋で。 二人きりで。 ねぇ、リュウジ。 ようやく二人きりになれたよ。 嬉しいでしょう。 私はとっても、嬉しいよ。 本当に、あなたを殺さずに済んで、 良かった。
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部員 1 DMK:部長 2 JOHNNY:副部長 3 天夜:王子 4 いちご:王女 5 しゅうと:看板娘 6 黎明:生徒会長 7 may :副生徒会長 8 つき:文化委員 9 ct:保健委員 10風君 美化委員 11あこのん:部員 12萌:風紀委員 13抹茶:書記 14HAL 顧問(支部長) 15黒宮:お昼寝委員 16羅兎:図書委員 17潤:暗殺部隊 18KAME 副代表 19さるの:放送委員 20ミハル:部員 21沙夜:後輩 22メビウス:先輩 23あきら:看板娘 24みるく:記録広報委員 25愛羅:HR運営委員 26アウス:切込み隊長 27みずき:七変化 28氷結:守護者(勧誘) 29時雨:会計 30雨霧潤:召使 31ユウヤ:新撰組 32hirotaku 手下 33白亜:メイド 34かが:庭師 35ひな:潜入員 36咲苦魔:門番 37カラス:体育委員 38響:特殊部隊隊長 39狂華:部員 40霧人:執事 41ゆあ:キティ姫 42月詠:ジョーカー 43暁音:お姉さん部員 44まいご:部員 45美波:主人公 46てろて13:死神 47変声:鳩山ソーナンス 48ハーブ:花咲く 49りとるぶれいばー:部員 50アムロ大佐:窓際係長 51真砂ゆう:部員 52かいん:学芸委員長 53シュウ:部員 54ちゃちゃ:看板娘 55まふぅ:部員 56あくま:部員 57粒輝:にゃんちゅう 58しおり:部員 59ぐっさん:部員 60テツ:部員 61吟:ヒロイン 62かなん:雑務全般 63まち:部員 64RAMI:マネージャー 65 バナミ:果物配達員 66 奏:部員
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そのじゅうろく「僕らの上に雪が降る」 雪が降る 雪が舞う 雪が散る 真っ白い空 真っ白い大地 真っ白い世界 世界に僕はただ立っている 世界にいるのは僕と少女 世界に他に人はなく 白く降る 白く舞う 白く散る その少女はとても小さい 広くもない世界に埋もれそうに それでも消えてなくならない 僕と少女は一緒にいるから 僕は少女を見る 少女は笑う それは ただの反応の そのための反応でしかなかったとしても 僕はその笑みを見て笑う 雪降る空 雪舞う大地 雪散る世界 僕らは小さく あまりにも未熟で 今までの短い人生に誇れるものは少なく ただそれだけの存在でしかないけど 空も大地も世界も白く その尽くが一点も滲まない ただ真っ白なままで 見据える先に色はなく それでも どうか どうか僕らを 僕らを導いた人よ これからの先は 僕ら二人で歩かせてください 目に映るこの先の世界を まだ色付く前の世界を 僕らはあなたの手を離し 進むことを どうか安らかに 祝福を この先が どのような道程なのか 僕らに知る術はないけれど もしかしたら それは道ですらなく ただの白いだけの荒野かもしれなくとも 僕らは お互いの手を取り ゆっくりと ゆっくりと 足跡を残そう 雪で埋まったこの大地は 何処までが本当に地続きなのかさえ判らないけれど 曲がりながら 迷いながら 間違えながら それでも僕らは歩いていきます だから だから ただ さよならと その日は朝から雪が降っていた。 記録的な大雪で学校は休校。 突然振ってわいた休日になんとなく時間をもてあまし、僕とティキは防寒対策を取って、白く染まった町を歩く事にした。 雪のせいかそれでも外は明るく、なのに車の音さえしないのがチョットした異空間を演出する。 初めて見る雪に、ティキははしゃぐ事も忘れ僕の肩の上で舞い散る雪に見入っていた。 立ち止まっては進み、進んでは立ち止まる。 そして完全に、足が止まった。 「マスタ」 小さく、小さく呟かれたティキの声。 「ティキにとって、『オーナー』だった人は二人いるのですよぉ」 「うん?」 「ティキはきっと、旦那さんの事を忘れる事は出来ないと思うのですよぉ」 「うん、そうだね」 「でも……」 ティキはそこで言葉を止める。 あたりを静寂が包む。 僕はティキの意図がわからないまでも、ティキが言葉を続けるのを待った。 「でも、ティキにとって、マスタはマスタだけですぅ」 そしてティキは僕の顔を見た。真摯な、その瞳で。 「だから、マスタはティキを置いてどっかに行かないで欲しいのですよぉ。ティキは、マスタがいなくなったら、きっと、旦那さんの時の様には出来ないですぅ」 その言葉に、僕は笑って「バカだなあ」という事は出来ない。 ティキも僕も、簡単に冗談めかして済ますことは出来ない。 だから僕もそのティキの思いに、やっぱり真剣な思いで答えるしかない。 「……僕はティキを置いて行ったりしない。僕達は出会ってまだそんなに長くはないけど…… 最初に約束したろ? 僕はこれから君と一緒の時間を過ごすよ。って」 「……………………」 何もいわないティキの頭をそっと撫で、僕は言葉を続ける。 「だから、もう一回約束するよ。僕はこれからの時間をティキと一緒に歩む」 それはただの口約束にしか過ぎないのかも知れないけれど。 それでも、多分に儀式めいていて。 そして、ティキは笑った。 それを見て僕も笑う。 そして僕らはどちらからともなく、真っ白い空を仰いだ。 静寂が優しく僕らを包み込む。 しばらくそうして二人で黙って空から舞い散る雪を見た後、僕らは再び歩き出した。 そのままセンターに向かう。 少し冷えた体を、温めよう。 そしてその日、ティキはセカンド昇級資格を手に入れた。 おわり / もどる
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シリウス・フィーナ 遠い日の記憶。 どこからとも無く聞こえる、赤ん坊の声。 ――違う、この声は。 これは、私だ。 私は抱えられている。 ――誰に? 細く頼りなく思えるけれど、暖かい腕。 「……やめ……下さ……!! 」 とぎれとぎれに聞こえる、懐かしくも思える女性の声。 「ダメだ――、お前たちだけでも」 今度は男性の声が聞こえる。 聞き覚えのある、暖かい声。 「あぁああああああっ!」 「見ちゃだめだ、シリウス!」 「……!!」 私は勢いよく起き上がった。 ……また夢、か……。 「嫌な夢……」 スカイブルーの前髪をかき上げ、目をこすりながら小さくつぶやく。 ベッドから遠い窓のほうを見ると、カーテン越しに日が差し込んでいた。 私の部屋にはもう朝が来ていた。 窓を開けると、目を刺してきそうなほどのまぶしい朝日。 小鳥がさえずる声。 陽の光は苦手だけども、この日ばかりは心地よくも思えた。 おそらく、理由の中に夢心地が悪かったこともあるだろう。 陽の光が苦手な理由。両親が亡くなってから数年経った頃のことだ。 私はもともと昔からあまり外に出たがらない子供だった。 そのうえ、私は大いなる力――人より強大な魔力を持って生まれたせいで忌み嫌われていた。 忌み嫌われていた理由として考えられるのは、 フィーナ一族がトラスタ村での唯一の魔導士であり、さらに両親のみが何者かの手によって無惨に亡くなったことであろう。 いつか村を滅ぼされるのではないか――、などと考えているのか、 とても平和なトラスタ村ではその行為を受け入れられなかったのか、未だに『フィーナ家と関わるな』という風習が残っているようだ。 最近では村を尋ねて来た魔導士でさえ煙たがられているようで、旅人でさえも寄りつかなくなってしまった。 まだ兄さんのいた頃は、そんなことはなかったのに。 きっと、未だに起こっている魔導士の戦火が近づいてきているせいなの――? 昔は暗い部屋で、魔術書を読むのが日課だった私。 よくスピカ兄さんに「目を悪くするよ!」なんて怒られたかしらね。 スピカ兄さんは、両親が目の前で亡くなったショックで変わってしまったけど、 優秀な魔導士として、たった一人の肉親として、兄としても大好きだった。 そんな兄さんも居なくなってしまったこの広い家で、私はたった一人住んでいた。 幼い頃から時間はたっぷりあった。それは、書斎の本をゆうに読み切ってしまう程。 ルーラと出会うまでは、絶対にこの力を使うまいと思っていたのに。 不思議だった。『諦めている』と言われてしまってから、私は自分から正しくこの力を使いたいと考えはじめた。実技は、学校に通わずとも兄さんに一から教わった。 いつまでも、忌み嫌われていたくない。そんな思いと、希望を込めて。 私は何度も失敗をしたし、何度も怪我をした。 それでも、挫けなかった。 兄さんに少しでも追いつきたい。 両親を救えなかった悔しさを、誰かを守れる強さに変えて。 そして、人並みに魔術を使えるようになったころ。 兄さんから黒いチョーカーを与えられた。 「これはね、しーちゃんを守ってくれるお守りなんだ。 なんとなんと、僕とおそろいだよ!」 兄さんは私に渡したものと同じチョーカーを付けている自分の首を指さしてから、 まぶしいくらいの笑顔で私にそう言った。 「そんなこと言って……、また魔帯なんでしょう? ……いいわよ、暴走しやすいのは自覚してるから」 「ぐ、……うん。まぁ魔帯なんだけどさ。 なんとこの魔帯」 兄さんはふっふっふ、と笑って私に不敵の笑みを見せた。 「じゃーん!魔力がコントロールできるんだよー!」 「知ってるわよ!そのくらい!」 私は何度も同じような説明をしてくる兄さんに強めのツッコミを入れた。 「ちっちっち、甘いなあしーちゃん。まだまだあるんだよねこのチョーカーの機能」 「な……何よ?」 「それは!変声機能だー!」 「いろんな方面から色々と怒られるわーっ!!!」 私はどこからともなくハリセンを取り出して、兄さんの頭をすっぱたたいた。 スパーン!とキレのよい乾いた音がする。 「わーー!!僕の魔力制御ヘッドバンドがーー!! いたたた……何も叩くことないじゃないか」 兄さんはヘッドバンドをぐいぐいと元の位置に戻しながら少し涙目でそう言った。 「……それは兄さんが悪いのよ」 「…………ハイ」 妹の私には頭の上がらない兄さんであった。 そんな兄とも、別れの時はやってきた。 アカデミーで優秀生の兄は、卒業後遠い王国レーガの宮廷魔術師になることが決定していたのだった。 私は両親と住んでいた思い出のこの家と、初めて私を理解してくれた親友のルーラと離れることができなかった。 「兄さん……私ね」 「わかってるさ。しーちゃんにとって、ルーラちゃんは大事な親友なんだろう? 僕はしーちゃんの側に居てあげられなくなるけど、 しーちゃんが自分の身を守れる以上の術は教えた。それは心配なのは心配さ。 でも決して忘れてはいけない。その強大な魔力は、悪いことに使うべきものじゃない。 今はしーちゃんの、大事な仲間を守るためのものだよ」 その言葉を告げた兄さんは、私の頭を撫でてくるりと振り返った。そして、村を出るまで振り返らなかった。 【NEXT】アシンメトリー 【BACK】森の中の少女
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「本日、集まって貰ったのは他でもない。資料は渡っているか?」 暗い暗い部屋の中で、数人の男女が丸いテーブルに座って居る。 その全員の前に、発言者が持っているのと同じ資料――《七人みさき》に関する報告書――が置かれている。 それを確認し、次の話しに進めた。 「今回の議題は、この《七人みさき》の契約者だ。資料を読んだのなら分ってるだろうが。 どうやらこの女は、殺害した相手を取り込む事で、配下にし使役したり、そのままエネルギーとする事が出来るらしい」 「興味深い能力ですね。大規模な破壊も出来る様ですし、使役する対象も強弱に関係ないっぽいし」 「殺した相手を取り込むんなら、戦闘中にガス欠に成る事も無いよね!」 反応した2人だけで無く、この場に居る全ての存在が《七人みさき》の契約者に対しての関心を抱いていた。 何故ならば、此処に居る契約者と黒服の全員が、ナンバーの枠組みを超えて集まった異端者達だからである。 如何言う事かと言うと、知識欲や闘争心だけで無く、正義感が強過ぎて元々のナンバーから、爪弾きにされているのだ。 だと言うのに、彼らの団結力は決して低くは無い。 「ならば、接触してみようか。なぁに、正義の、世の為になると交渉すれば、大丈夫だろう」 「良く言いますね。応じなければ、実験体として回収する積もりでしょう」 「当り前だろう? 正義を分らぬモノには、平和の為の礎としての役割しか存在せんさ。 そうだ、この世に在る全ては平和への贄と成る事が、何よりも幸福なのだ」 その考えは、間違いなく善性を根源としているだろう。しかし、あまりにも狂い過ぎている。 正義の平和の為ならば、どんな犠牲も払って構わないと言っているのだ。そして、それを普通に受け止められている。 ここに集まった7人は、方向性の違いは有れど、いかれている事に違いは無いのだから。 「で、誰が行くんだ? 全員って訳にゃ、いかねぇだろ」 「それならば、既に決めている。私と、貴様と貴女と君の4人だ。 もっとも、私は直接に相対する訳じゃ無いがな」 「へぇ。そう言う作戦なんだ」 仕切っていたリーダー格の男性が指差した人員を確認すると、それから外れていた1人の女黒服が、何をするか気付いたらしい。 その顔には、面白い事が起こりそうだと言う表情が浮かんでいる。 「ん? 如何言う事なの、おねーさん」 「詳しい事は、後で説明するさ。ただ、君には期待している。 もしかしたら、君の都市伝説は《七人みさき》にとって、鬼門かも知れないからな」 「おぉ!! 僕の友達が大活躍出来るんだね! 頑張るぞー」 ただ、指された内の1人である子供は、作戦の内容を理解できなかった様らしい。 その内容を女黒服に尋ねるが、彼女が答える前にリーダー格の男が期待を告げ、それを聞いて子供は声を上げてヤル気を出す。 「では、今回はこれで解散としよう。《七人みさき》を確認次第、追って連絡する」 リーダー格の男は、そう言うと取り出した機械を操作した。すると、その場の全員の携帯に着信があり。 そのまま1人残らず、姿を消した。 そんな計画が立てられている事など、知る筈も無い《七人みさき》の契約者美咲はいつも通りにしている。 そう。いつも通りに、………襲ってきた都市伝説を撃退している。 戦闘に出せて、修復が済んでいたのは〝テケテケ〟だけだったが、相手も《口裂け女》が1体だけだったので、何とか成っているらしい。 (はぁ。何だったんでしょうか? あの人は) (ん。この間の男の事かい? ただの、お人好しだろうよ。気にする事無いだろうさ) (な事は、分ってるよ。気に成るのは如何して、あそこまで優しく在れるのかって事だ) (自慢じゃないが、ボク達はかなり多くの存在を、人間・都市伝説を問わずに吸収している) (だけどさ~。あんなに優しいのって1つも居ないし、普通じゃ無いって) (あれは、異常) しかし、この状況で美咲いや、《七人みさき》の7人の頭を占めるのは、先日に出会った青年の事だった。 その事に気付いた〝鬼女〟が、何故、美咲達がそこまで青年の事を引きずっている事に、疑問を言う。 それに対して、自分達の感じた青年の異常さを口に出す。 そんな、会話の裏では、 「イヤッハー!! あたいの鋏捌きの前には、敵うモノ無ーし」 「っちょ、何コイツ?! 下半身が無いのに、動きが縦横無尽過ぎ――――――」 「フィーーーーニッシュ」 〝テケテケ〟が必要以上に派手なテンションで、《口裂け女》を倒していた。 「終わったよーーーーーーー!!」 「あ、そうですか。じゃあ、さっそく取り込みますね。ちょうど、良かったですかね」 大声で、戦闘の終了を伝える〝テケテケ〟と《口裂け女》を取り込む美咲。 襲ってきたのが《口裂け女》だったのは、ラッキーだったと言える。同じ都市伝説の方が修復が早くなるのだ。 これで、〝口裂け女〟を呼び出せる様になる時間が、近づいたと思われる。 「では! あたいは、これにて退散させて貰います」 「ご苦労様でした」 と、吸収が終りかけた時、不意にこんな考えが湧いてきた。 (そうだ。あの人を取り込めば解るのかな? 如何して、あそこまで優しく在れるのかを) 続く
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122 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/15(火) 23 39 51.20 ID ??? >スポーツ好き 激務過ぎて学生時代に体を鍛えてないととてももたないって話もあるw 米の大統領、副大統領が体を壊して任期満了前に引退、て割とあるからなー。 ウルベ「すなわち! 明日のネオ・ジャパンを導く指導者とは! 鋼の肉体を持つ私こそがふさわしい! ふははははは!」ムキーン フル・フロンタル「ふははははは!」ムキーン クルーゼ「はーっはっはっは!」ムキーン ウルベ「貴様らどこから!?」 124 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 00 00 28.51 ID ??? ラッセ「筋肉ならばこちらも負けていないぞ!」 スメラギ「ネオソレスタルビーイングのガンダムファイターとか、駄目かしら」 刹那「ガンダム!?」 アレルヤ「僕が前に挑戦したのは忘れ去られてるよねそうだよね…」 125 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 00 35 58.13 ID ??? デギン・ザ・グレート「やれやれ、ここは若い者に手本を見せてやらねばならんな。フンッ!!」ムキッ ジェネラル・レビル「膝に矢(レビルアロー)を受けて引退した身で無理することはない。私一人で十分だ。ぬぅん!!」ムキッ 126 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 00 42 13.22 ID ??? 爆熱丸「ぷにぷにには負けんぞ!この鍛え抜かれた武者の身体をみろ!!」 シュウト「わーすごいや爆熱丸」 セイ「どこが!?どこが筋肉なのその身体!?」 シン「シュウトのやつ理解しているってのかよ!?」 129 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 07 31 10.32 ID ??? 126 刹那「ガンダムも鍛える必要があるというのか…!」 ダッダッダッダッ アル「刹那兄ちゃん、ランニング始めたの?」 ヒイロ「まずは基礎からだとかで、毎朝町内を五周しているようだ」 シン「本人が走るならともかく、ガンダムで運動するってガンダムファイター以外に意味あるのかな…」 130 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 09 59 31.12 ID ??? 刹那は暗い部屋で一人腹筋してたシーンがシュールだった 131 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 12 08 43.03 ID ??? スエッソン「虎は何ゆえ強いと思う?元より強いからよ」モッチャモッチャ ギンガナム「まったく同意だが、貴様が食っちゃ寝をする理由にゃならねーんだよぉ!!良いから演習に来い!!」 スエッソン「あぁん」 134 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 17 05 18.84 ID 0sNPIaJd キラ「ウチの家族で腕相撲したらどうなるかな?」 シン「ドモン兄さんがラスボスになるだけだと思うぞ」 148 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 22 50 17.57 ID ??? 刹那はメタル化すればかなりいいところまでいきそう 150 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/16(水) 23 20 19.85 ID ??? カミーユってスパロボだと妙に生身の白兵戦が強い設定になってるけど、原作だとくっそ情けなくなかったっけ? 153 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/17(木) 00 42 25.16 ID ??? 148 刹那「この気温だから多少の熱さは我慢してくれ」 ガロード「我慢できるか!」 156 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/17(木) 08 33 50.63 ID ??? 150 アムロ「カミーユは空手やってるからな」 157 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/17(木) 09 33 30.63 ID ??? 156 ヒイロ「ウーフェ……ごひは中国拳法やってる」 ドモン「スパロボに俺と互角に渡り合えた空手馬鹿がいるな」 ジュドー「獣戦機隊に拳法使いがいるな」 キラ「コーディネーターの特殊部隊より強いかもしれないマリ…ナチュラルがいるけど、その空手で戦ってみる?」 カミーユ(無理だ…誰一人勝てる気がしない) 158 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/17(木) 12 32 56.34 ID ??? アムロ「体力面では弟達にかないそうにないから、審判でもするかな」 セレーネ「そこは唯一女性(強調)の私がするわよ。兄さんも昔は結構暴れていたじゃない」 マイ「そしてブライトさんに殴られてましたね」 アムロ「…頼むから思い出させないでくれ」 シャア「全く、情けない奴だ」 ナナイ「その情けない奴にフェンシングで負けたのはどこの誰ですか」 シャア「負けてはいない、ヘルメットが無ければ即死だっただけだ」 159 :通常の名無しさんの3倍:2014/07/17(木) 13 21 07.91 ID ??? 158 シャアさんそれ負けたって言うんじゃ・・・ シャア「認めたくないものだな・・・自分自身の若さ故の過ちというものを」